Zendesk 2023年9月のアップデート情報をまとめてみた
こんにちは、ゲームソリューション部の入井です。
Zendesk公式にて今月のアップデート情報が公開されたので、その内容を1つずつ解説していきます。
エージェントガイド
エンドユーザーのSNS等のアカウントIDの表示機能追加
カスタマーがソーシャルメッセージングチャネル経由で連絡してきた場合に、WhatsAppの電話番号やInstagramのハンドルネームなどのソーシャルIDがカスタマーの基本情報カードに表示されるようになります。ソーシャルIDにより、エージェントはさまざまなプラットフォームでカスタマーを識別し、チケットに対応する際にカスタマーの行動履歴を詳細に把握することができます。詳しくは「チケットにカスタマーの行動履歴を表示する方法」を参照してください。
Zedndeskには、X(Twitter)やFacebook, WhatsApp等の外部サービス内で受けた問い合わせについて、自動的にチケット化する機能があります。今回の更新により、そのようにして作成されたチケットのエンドユーザー詳細パネルにて、問い合わせをしてきたエンドユーザーの外部サービスアカウントIDが表示されるようになりました。
※こちらの画像はZendeskヘルプより引用
タグによる競合の防止
Zendeskエージェントワークスペースでのタグ処理を改善し、チケットで競合が発生しないようにしました。2人のエージェントが同時にチケットタグを更新した場合、どちらが先にチケットを保存したかに関わらず、それぞれの更新内容が統合され、すべてのタグが含まれます。詳しくは「エージェントコリジョンを回避する」を参照してください。
各チケットにはタグを付けることができ、これによりチケットを分類・整理することが可能となっています。
今回、このタグの編集について、複数のエージェントが同時に更新操作を行った際に、全ての内容がチケットに反映されるようになりました。
例えばあるチケットにエージェントAが『PCの質問』というタグを追加して保存する操作と、エージェントBが『電源の質問』というタグを追加して保存する操作が同タイミングで行われても、どちらかの操作内容が失われることなくチケットには両方のタグが追加されます。
Guide
セマンティック検索機能の提供地域拡大の告知
•セマンティック検索の検索対象となるのは、外部のコンテンツを持たない英語版のすべてのヘルプセンターです。また、より多くのお客様にセマンティック検索の展開を拡大し、英語以外の多くの言語にセマンティック検索のサポートを提供できるよう取り組んでいます。お使いのヘルプセンターのセマンティック検索の対応状況の確認や、展開計画の詳細については、「セマンティック検索とそのしくみについて」をご覧ください。
セマンティック検索とは、自然言語によってヘルプセンター内を検索できる機能のことです。例えば、〇〇というソフトのインストール方法についての説明記事を検索したい場合、従来の検索では「○○ インストール」といった形で特定のキーワードによる検索を行う必要がありましたが、セマンティック検索では「〇〇を導入する方法を教えてください」とか「〇〇を使い始めるにはどうすればいいでしょうか?」というような、会話的な文字列で検索を行っても、その意味をAIがきちんと解釈して最適な記事を提示してくれます。
セマンティック検索とそのしくみについて – Zendeskヘルプ
2023年9月現在、セマンティック検索機能は英語環境でのみ提供されていますが、今後は様々な言語でも対応を進めていくという告知が今回行われました。
対応予定の言語の中には日本語が含まれているため、近い将来には日本語環境でもセマンティック検索が利用できるようになる模様です。
記事の添付ファイルがメディアライブラリで管理可能に
記事の添付ファイルがGuideのメディアライブラリで管理されるようになりました。
以前は、アカウントレベルの画像ギャラリーで、ヘルプセンター内の画像にアクセスし、再利用することができました。今回のリリースで、アカウントレベルのメディアライブラリで画像と添付ファイルの両方を管理できるようになりました。
- エージェントは、アカウント内で自身がアップロードしたすべてのメディアを閲覧可能
- Guideの管理者は、アカウント内のエージェントがアップロードしたすべてのメディアを閲覧可能
詳しくは「メディアギャラリー内の添付ファイルの使用」を参照してください。
Guideの記事にはファイルを添付することが可能ですが、従来はヘルプセンター全体でどのようなファイルが使用されているかを確認することはできず、各記事ごとに添付ファイル情報をみていく必要がありました。一方で、画像の場合はメディアライブラリという機能を使うことで、ヘルプセンター全体での画像の利用状況を確認することができました、
今回、メディアライブラリに画像だけでなく添付ファイルを管理する機能が追加されたため、添付ファイルについてもどの記事でどのようなファイルが使われているかを管理・確認ができるようになりました。
なお、メディアライブラリ管理画面については、各記事の設定画面経由で開くことが可能です。
メッセージングとボット
設定項目の移動
メッセージングトリガと会話ログの設定が管理者センターへ移動しました。新しいSuiteアカウントのお客様は、Chatダッシュボードにアクセスせずに、これらの設定を管理できます。今後数か月かけて、すべてのアカウントタイプで、これら設定およびその他のメッセージング設定を管理者センターに移動します。詳しくは「管理センターのメッセージングトリガ」と「メッセージングの会話ログの表示の管理」を参照してください。
一部のメッセージング関係の設定画面がChatから管理センターへ移動しました。
チャット関係のトリガを設定するためのメッセージングトリガの設定は『Chat→設定→トリガ』、会話ログをエンドユーザーに公開するか等が調整できる会話ログについては『Chat→設定→アカウント』を開く必要がありましたが、今回管理センターへ移動したことで毎回Chatの画面を開く必要がなくなりました。
アカウント
サンドボックス作成時のWebhook複製
Premiumサンドボックスを新規作成すると、Webhookが複製されるようになりました。Webhookが接続するライブAPIとの意図しない相互作用を防ぐために、複製されたWebhookはすべて、サンドボックス環境ではデフォルトで非アクティブにされます。詳しくは「Premiumサンドボックスの概要」を参照してください。
Zendeskのテスト環境を作成するための機能として、サンドボックスという機能があります。サンドボックスの種類にはStandardとPremiumがあり、その中の本番環境をコピーした環境を作成するPremiumサンドボックスにおいて、本番のWebhook設定が複製されるようになりました。
ただ、外部エンドポイントに対する意図しないアクセスを防ぐため、複製されたWebhookは非アクティブ状態になります。
Webhook設定を大量に登録している環境のテストの際、今後は手動でWebhook設定を登録する必要が無くなりました。
エージェントのカスタムロール権限の設定内容追加
Enterpriseプランでは、エージェントに、自分以外のチームメンバーのロールを表示、管理、および割り当てる権限を付与できるようになりました。詳しくは「カスタムロールの作成とエージェントの割り当て」を参照してください。また、「カスタムロールのエージェントの権限」も参照してください。
Enterpriseプランでは、エージェントに、エンドユーザーのリストを検索および表示する権限を明示的に付与できるようになりました。この権限が付与されていないエージェントは、個々のエンドユーザーのプロフィールにしかアクセスできません。詳しくは「カスタムロールの作成とエージェントの割り当て」を参照してください。
エージェントのカスタムロール設定にて、自分以外のエージェントのロール情報へのアクセス権限と、エンドユーザーを検索する機能の使用権限の設定が追加されました。
自分以外のエージェントのロール情報へのアクセス権限は、以下の項目から設定が可能です。
- 許可しない
- 表示のみ
- メンバーの作成、ロールの割当、編集、削除
例えば、誰が上位権限を持っているかを伏せたい場合、『許可しない』を設定することで他のエージェントのロール情報が見えなくなります。
エンドユーザーを検索する機能の使用権限については、有効/無効の2パターンで設定可能です。エンドユーザー全体へのアクセスはさせたくないエージェントがいる場合、この設定を無効にしたロールを割り当てることになります。
プライベートグループチケットの閲覧制限強化
エージェントがリクエスタであり、エージェントが所属していないプライベートグループにチケットが割り当てられている場合のチケットコメントの表示に関して、新しい制限が追加されました。この制限によって、人事部などの機密情報を扱う社内グループは、リクエストを作成したエージェントには表示されないプライベートコメントをチケットに追加できるようになります。この制限は、エージェントが他の人の代理でリクエストするチケットには適用されません。エージェントがチケットのリクエスタとして設定されている場合のみ、社内メモの表示がブロックされます。詳しくは「プライベートチケットグループとそのしくみについて」を参照してください。
Zendeskには、チケットの閲覧権限を制限するプライゲートグループという機能があります。担当者がプライベートグループ内のエージェントに割り当てられているチケットは、グループに所属しているエージェント以外はアクセスできないようになります。
従来、このプライベートグループに割り当てられているチケットであっても、リクエスタ=チケット登録者がエージェントだった場合、そのエージェントのみ例外的にSupportのチケット詳細画面にアクセスでき、パブリックコメントも社内メモも閲覧可能という仕様がありました。
今回のアップデートでその仕様が見直され、プライベートグループ内のチケットの詳細画面は例えリクエスタでもアクセスできず、エンドユーザー同様メール等でパブリックコメントのみ閲覧可能、という形になりました。これにより、プライベートグループ内のチケットの社内メモは必ずそのグループに所属していなければ閲覧ができないようになりました。
セキュリティ
ログイン画面での複数のSSOボタンの表示
SSO設定が複数ある場合、ZendeskのサインインページにそれぞれのSSOボタンが表示されるようになりました。また、各ボタンのラベルをカスタマイズしたり、非アクティブなSSO設定を削除する機能も追加されました。詳しくは「シングルサインオン(SSO)設定の管理」を参照してください。
エンドユーザー、エージェントそれぞれの認証設定で以下の画像のように複数のSSOを有効にした時、ログイン画面でどのSSOを使ってログインをするか選択できるようになりました。
ボタンの表示名についても任意のテキストをセットできます。
Zendeskの認証に複数の認証基盤を活用したい場合に便利になりそうです。
インテグレーション
Jiraサービス間のデータ移行
新しいJiraインスタンスへZendesk Jiraインテグレーションを移行できる新しいツールが追加されました。Jira ServerからJira Cloudへの移動など、Jiraインスタンス間の移動時にインテグレーションの移行をユーザー自身が管理できるようになります。詳しくは「Jiraインスタンスを移動する際のZendesk Jiraインテグレーションの移行」を参照してください。
Zendeskは、プロジェクト管理システムであるJiraとの連携を公式にサポートしています。Jiraにはオンプレミス版のServerや、SaaS形式のCloudなどいくつかの提供形式があり、異なる形式を使い始めるにはデータの移行作業が必要となります。
今回のアップデートにより、JiraとZendeskのチケットデータのリンクを保持して移行できるツールが使えるようになりました。
感想
色々と便利なアップデートが適用されましたが、多くの人に影響がありそうなのはGuideで記事の添付ファイルが管理できるようになったことでしょうか。その他、カスタムロールで細かい権限設定項目が増えたのも、データアクセスをしっかり制御したい企業にとっては便利になった部分と思われます。
今月の告知
Zendesk Showcase Tokyo 2023
来月の10/18(水)に、国内最大のZendesk公式イベントが開催されます。
有名企業による事例発表のほか、最新のAI機能の紹介・体験などが行われますので、ご興味のある方はお申し込みはこちらからよろしくお願い致します。
以下、Zendesk社発表の引用となります。
AIを活用したCX戦略で企業を成長に導く、 Zendesk Japanの国内最大イベント開催!
- 10月18日(水) 10:00-16:00@ウェスティンホテル東京 -
ZendeskのCEOはじめ米国本社から経営幹部が来日し、最先端のAI事情やCXのトレンド、今後の戦略的展開を紹介。導入企業による事例講演や参加者同士の懇親会など、盛りだくさんの内容でお届け!製品ブースでは、Zendeskの最新AI機能も体験できます。
◆ 注目のセッション ◆
Guest Panel :楽天グループ 平井氏が登壇 !!
楽天グループより副社長執行役員の平井氏をお迎えして、 『企業のCX戦略のあるべき姿とAIの活用』 をテーマにお話しいただきます。
今後も続々と情報をお届けします!
10月18日(水)、ウェスティンホテル東京でお待ちしています。
Zendeskセミナーを毎月開催しています
クラスメソッドでは、問い合わせ管理サービスであるZendesk for Serviceと営業管理サービスであるZendesk for Salesについて、毎月セミナーを開催しております。直近では、Zendesk for Serviceは9/28(木)、Zendesk for Salesは10/11(水)に開催します。
いずれもZendeskをよく知らない方向けに基本的な部分から解説する内容となっておりますので、今後Zendeskの導入を検討している方や、既に導入済で改めて基本的な部分を勉強したいと考えている方は、是非お気軽にご参加いただければと思います。